男女の記憶のズレについて 映画「恋の手ほどき」
二人の記憶はみごとにズレるのである。
「よく覚えてるよ。9時に君と会い」
「8時よ」
「君を待っていたら」
「あなたは遅刻してきたわ」
「皆と一緒に食事をしたね」
「二人きりだったわ」
「テナーサックスの歌が流れ」
「バリトンよ」
「4月の月がまばゆかったね」
「6月で、あの日は闇夜だったわ」
「8時よ」
「君を待っていたら」
「あなたは遅刻してきたわ」
「皆と一緒に食事をしたね」
「二人きりだったわ」
「テナーサックスの歌が流れ」
「バリトンよ」
「4月の月がまばゆかったね」
「6月で、あの日は闇夜だったわ」
「あの金曜日」
「月曜日よ」
「馬車に乗って」
「歩いたわ」
「君は手袋をなくし」
「なくしたのは櫛(くし)よ」
「晴れた夜空で」
「雨だったわ」
「ロシアの歌が流れ」
「スペインの歌よ」
「君はゴールドのコートを着て」
「ブルーよ」
「月曜日よ」
「馬車に乗って」
「歩いたわ」
「君は手袋をなくし」
「なくしたのは櫛(くし)よ」
「晴れた夜空で」
「雨だったわ」
「ロシアの歌が流れ」
「スペインの歌よ」
「君はゴールドのコートを着て」
「ブルーよ」
こういったズレは、実際、いつの時代も変わらない。
私が記憶に残る初恋の人が着ていたセーターは
白だったと書いたが、実際はグレーかベージュだったかもしれない。
白だったと書いたが、実際はグレーかベージュだったかもしれない。
それで、この映画を思い出した次第である。