市会議員になりたかった人……唯一の欠落点が致命傷に

昔、市会議員になりたがっていた人がいた。
何かの勉強会を主催し、人の相談にも乗り、いろんな文化イベントに協力したり、駆けつけたり、となかなかのやり手。
仕事は自営業、まあまあ裕福。
妻子がいて、家族思い、異性関係はありそうで、全くなかったそう。

傍観者にすぎない立場の私、その人物と親しく話したこともない。
知人が家を買う時、手続き上で困った時、力になってくれた人、という話は聞いていた。
何ヶ月か後、久々に会った知人から、その人が、重度のアルコール依存症に陥り、ある日、倒れて入院したらしいと聞いた。

それから、数ヶ月後のある日、その人から突然、電話があった。
私に会いたいという。
驚いて、最初は声が出なかった。
いや、連絡先は当時は皆オープン、それは無問題。
ただ、ろくに話した事もない人から、いきなり「会いたい」と言われる覚えはない。

「一体どうしたんですか?」
「いや、アルコールでイカレて、頭が壊れちゃったんだよね。退院はしたけどね…」
「なぜ私に? 出来ませんよ。お大事になさってください」
「ありがと…£#※&☆∝§」

お酒を飲みながらなのか、語尾が聞き取れなかったが、
結局わけがわからないまま受話器を置いた。

妻に見捨てられたのかどうかは知らないが、あちこち電話したのだろう。
かなりヤキがまわっていたに違いない。
付き合いのなかった私にまで、電話してきたのだから。 

これといった欠点がない人なだけに、なんだか考えさせられた。
その後、どうなったかは知らない。
なぜこの他者から好人物といわれた人が、アルコール依存症になるまでになったのか…
そこを、この人が自分自身で分析しなかったら、次へは進めなかったにちがいない…。

[結論]
どんなことをするのでも、身体だけでなく、心も精神も健康でなくてはならないと思った。


終わり。