(1)M市ストーカー殺人事件について……ワタシの妄想的雑考

加害者Iは、S子さんの個室の押し入れに忍び込んでいた。
彼は、押し入れの中から、知人に何度もメールしていた。
S子さん宅に人がいるかどうか確認のため電話してくれとか
あと、意味不明な文も送信していたという。

Iは押し入れで、心配してかけてきた警察官とS子さんの携帯電話の
やりとりを聞いてしまい逆上して殺害に至った、と言われている。
押し入れに忍び込む前から刃物はすでに準備していた訳だ。

2人はネットで知り合い、普通に交際をしていたらしい。
別れを告げられてからのIは、S子さんの情報を
彼女のサイトでいつも知る事が出来たはずである。
芸能活動をしているS子さんは、スケジュールや日常の出来事を
普通にネットで発信していただろう。

悲しいことに、思いが残る側は、相手の周辺を常に這いまわる事になる。
孤独の中に突き落とされた惨めな状況だろう。

S子さんは別れを切り出した側である。
新たな進路への可能性を模索していた。
Iを自分の未来から排除したと言っていいだろう。
本人はそんなつもりはなかったに違いない。
だが、Iと別れても残念がったりしてはいないように感じられた。

Iに突きつけられた、『彼女の未来に選ばれなかった』という事実。
彼女は、まだ若く美しく頭も良かった。
まだ人生の進路については最終決定はしていない。
女優として階段を上がり始めていた。

これがS子さんの恵まれた外的条件である。

普通であれば、『頑張張ってるんだなあ~』くらいしか思えない。
進路についても真面目に考えていて
先のわからない夢にガツガツとらわれていない堅実さを感じる。
男から男へと遊びまわる小悪魔ならば話は違ってくるが……
男というものは、すべて視野狭窄であると言われている。
それにに則れば、若い男はより視野狭窄という事にならないだろうか。

人間は内面が最も大事だ、人間の本質は心、魂であると
精神世界がいかに呼びかけようと
現実社会において
外的条件があらゆる判断の基準となりがちなのは否定できない。
時には、グロテスクなほどにである。


ふと、勝手な妄想であるが。

S子さんがこれほど外的条件に恵まれていなかったら…
この男性はこれほどの行為をしたのだろうか?
普通の平凡な少女であったなら…

Iは異性には気にとめられてもよい容姿だ。
だが、内気で真面目なのは想像できる。
でなければ人に好かれないし、友達などは出来ない。

もしかすると、S子さんのほうが、将来の視野に芸能活動を置いているくらいだ
積極性があったのではないだろうか。

となると、この事件は、男女が入れ替わっているドラマに
見立てる事で、理解できるかもしれない。

*****

美しい1人の女と付き合いはじめた
才能ある容姿の良い男がいた。
はじめは楽しい時間があった。だがやがて男は女のことが、
純粋だが退屈でつまらなく見えてきた。
男は、将来を考え、自分と釣り合わないと計算して女と別れた。

*****


このドラマを、男はS子さんに
女はIに当てはめてみてほしい。
どうだろうか?

置き去りにされた女(I)は
内気な自分が小さくしぼみ、光を失ったかのように感じ
相手の男(S子さん)が大きく、眩しく見えたのではないだろうか?

その次には、そこから様々な感情が次々と生まれ出るのだろう……


つづく