「フランス恋愛小説論」 工藤庸子著 を読む ① マリー・アントワネットの愛したエロ本 「危険な関係」

いま、「危険な関係」というDVDを見ている。
今日読もうとした本の中に、ラクロ作のこの小説について触れているので、見ることに。

配役は、グレン・クローズジョン・マルコヴィッチユマ・サーマン
キアヌ・リーブスと豪華そのもの。ユマ二十歳の初々しさは必見。
あと一人、ミシェル・ファイファーも忘れてはならない。

彼女演じる貞淑なトゥールベル夫人、彼女をモノにするという、メルトイユ夫人
との賭けに、ヴァルモンは見事に勝つ。
だが、いつしか自分が本気でトゥールベル夫人に惹かれていったという、
彼自身の思いには気付けない。
メルトイユ夫人を振った貴族の婚約者セシルの処女を奪い、復讐するという
夫人の頼まれ事も、ヴァルモンは受諾していた。

自由放縦なかつては愛人同士であったこの男女は、相手が自分にひれ伏す
事を望み、お互いに折り合うことがなかった。
メルトイユ夫人は、彼のトゥールベル夫人を真に愛したヴァルモンの心理を
すばやく見抜き、姦計を巡らせ、彼をセシルがらみの決闘に追い込んでしまう。

このラクロの「危険な関係」は、1782年パリで、文学的先輩にあたる
アべ・プレヴォマノン・レスコー」(1731年刊)より51年後に出版された。

マリー・アントワネットが表紙を付け替えて、この本を隠し持っていたとか。
そのくらいに、当時としては、かなり恥ずかしい本。(今ならアダルト・ビデオ?)

※ 以上「フランス恋愛小説論」工藤庸子(岩波新書)参照。

 
     【これは一言でいえば、共同体のなかにおかれた私的な人間が、他者との結びつきを
      どのように造りだし、ときにはそのなかで傷つき、破滅にまでいたるのかを描いた
      作品です】(p.75)                  by工藤庸子