「恋の手ほどき」(3)ナボコフの香り香が漂う時代背景1950年代後半

ドレスを着て、パーティで踊り、豪華な宝石を贈られ、葉巻きを選び、
背伸びして、上流社会の噂話をするジジ。

ジジはガストンの愛人として、精一杯ふるまう。

だが。

ガストンは、皮肉にも、ジジが気取った上流社会のやり方をまねるのを
不快に思うのだった…。


現在ならセクハラものの映画だと思うが、
撮影された時代(1958年)のアメリカには、
このように、ナボコフの刻印した少女信仰が
あったのだなと思う。

ナボコフの「ロリータ」が衝撃的に発表されたのが1956年。

最近も、
それが繰り返されているんじゃないかと思うのは
私だけか。

書きながら、ナボコフを読みたくなった。
(「ロリータ」の映画は見たくないが)

誰の心にもかたよった欲望があるし、
純粋な美を賞賛する心もあるわけだが。
なぜか、
それをこの映画で思い起こす。

可愛い少女賞賛物語なのだけど、裏側が透けて見えてしまう。

男の身勝手な処女信仰や、身勝手な女性への考え方が。

いつもは、そこまで考えていないけれど…。

(^^;ゞ

それでも、本作はみずみずしい名作である。

DVDでときどき観ているし、飽きない。