手紙 【創作】
捨てられない手紙がある。
三通ある。
三通ある。
高校時代好きだった人から、彼が留学中に、もらった手紙。
少し親交のあった、芸能界のはしっこにいた人からの手紙。
ちょっと道を外れた職業だった人からの最後の手紙。
一番、思い出に残る手紙は、
インドからの何十通もの手紙だ。
インドからの何十通もの手紙だ。
自由人だったある御曹子は、
旅人でもあった。
旅人でもあった。
大学を出て、ある有名な会社に勤めていたが、
もったいないといわれながら辞めて、
旅に出た。
もったいないといわれながら辞めて、
旅に出た。
その後、好きなことをはじめた。
お金はあったけど、独立心が強くて、
お金はあったけど、独立心が強くて、
ワタシは彼に惹かれた。
でも、つきあって、
初めての彼の旅の予定を聞かされて、
私は不安になった。
でも、つきあって、
初めての彼の旅の予定を聞かされて、
私は不安になった。
私は孤独に耐えられなかった。
それと同時に、
孤独は私を一気に大人にした。
それと同時に、
孤独は私を一気に大人にした。
でも、
彼がいない時の、
ぽっかりあいた虚脱感と、
不安感。
彼がいない時の、
ぽっかりあいた虚脱感と、
不安感。
私は彼を好きではないと感じた。
手紙には
手紙には
「愛しています」
「君と結婚したい」
それを、空虚な思いで読んでいた。
キスのたび、
大人になっていった私だったけど、
大人になっていった私だったけど、
やはり、私は子供だった。
彼ではないと、
その時、知ったのかもしれない。
その時、知ったのかもしれない。
そう別の人を思い浮かべていたこともあった。
彼は今もそれを知らない。
彼は今もそれを知らない。
だけど、別れた理由は、
実はもっともっとたくさんあった。
実はもっともっとたくさんあった。
単に、私が子供だった、
ということだ。
「この人と別れるのは惜しいな」
そう思ったことも、彼は知らない。
彼は命がけの仕事で、より男らしくなって帰ってきたのだった。
これも、子供だったからやってしまったこと。
プイグの小説だったか、ラストに手紙を燃やすシーンがあったな。
なんて題名だったか・・・
なんて題名だったか・・・
赤だったか、ピンクだったかのリボンと
青いリボンで束ねられた手紙を暖炉で燃やすのだ。
青いリボンで束ねられた手紙を暖炉で燃やすのだ。
燃やすなんて、バカだったなあ・・・と思っている。
「・・・別れた当時は、君を恨んだけど・・・」
「僕の中では、君は永遠に少女のままだ」
「今でも君を毎日思い出してるよ・・・」
(終わり)