小さなパーティの主人公

この間パーティに行ってきた。
といっても、大きなホールでとかでなく、
ホテルのカフェの一部を借りて行われただけで、
知人の快気祝いというか、なんちゅーか。

生きるか死ぬかのの大手術で
成功して(でなきゃ生きてないわけだが)
まーよかったよねと、
みんなが主人公の健康を喜んでいた。

「パーティをやろうよ」

そう言い出したAさんが、今回の主人公のお見舞いに行ってきて、
退院してまた訪問した際、感じたことが発端だった。

「も~、悲しくなってきちゃったわ。
大手術が成功したのに、本人が元気がないのよ。
精神がまいっちゃってるのよねえ・・・
無理もないんだけど」

あまりにも、本人が生きる意欲を無くしている、

「このままじゃだめになるわ、
いくら医学が発達したって、
身体がもとに戻ったって、
人間は生きる意欲があって
初めて本当の健康になれるのよ」


他の人は言った。
「身体も手術後と手術前じゃ違うはずだわ。
気持ちも前と同じには戻れないわよ」

そしてもう一人の他の人が言った。
「以前当たり前のようにできるてたことが、
手術後はできない自分がいるんだから、
気持ちは弱くなってるでしょうね」

周囲の人々より、以前はいろいろできていた自分が、
今ではその人々より
できなくなっていることからくる落ち込み。


本人を実際数回見ているAさんが言った。

「臆病なの。臆病になっちゃってるのよ。
ちゃんとリハビリもしてるんだけど、
外に出たがらないんですって」

「元気づけてあげましょ! こんなことあまりやったことないんだけど・・・」

嘘だと思う。
みんなもそれを知っている。
家族の介護と仕事で忙しいのに、
他人のために心を砕くAさんだ。

ということで、パーティ開催となった。
さすが欧米育ちのAさんだ。
行動ははやい。

日本人は水くさい。
相手の気持ちを推し量って態度をはっきりさせないことが多い。
その点、Aさんははっきりしてるし、
その上日本人のよい面も持っている。

「でも、段階的に打診していかないとね。
まだ退院して日も浅いんですもの」

全面Aさんにお任せでパーティの日時が決まった。

その日、

主人公は痩せていた。
ふっくらしていた人が、
10キロは落ちたように見えた。
でも、思ったより元気そうだった。

パーティが決まって、
カードを買ってから
ずっとそこに何を書けばいいのか迷ってた私だったが、

着てゆく服を選びながら、
直前に浮かんだ言葉を
イラストとともにさっと書いた。
それは、
すっごい単純な文句だったんだけれど・・・。

お見舞いも行けず(Aさんはご近所で元々親しい)
どういう状況かも読めず、
本人の心情も想像できず、
だったし、
どういう状況でも当たり障りのない言葉を
考えていたが、
無難というのもつまらない。

その単純な文句が閃いた時、

「これだ☆」

と思った。

カードはその日の主人公が大好きなクッキーと一緒に手渡した。
我ながら結構気に入っている。

ふたりの人物が会話してるイラストをまず描き、
次に吹き出しのセリフはこう書いた。

“○○さんが復帰されたんですって”


“ええっ! それは最高のニュースね!”


気持ちは伝わったようである。


さて。
最後まで読んでくれてありがとう。
あなたは何が印象に残ったでしょうか。

書きながら・・・
本当の主人公は、パーティ企画者の
Aさんのような気がしてきた私であります。
(*^ー^)

終わり。