映画「コラテラル」 夢と挫折──人生の断片を知る映画 マイケル・マン監督

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「ロスの街は日が落ちると鮮やかなオレンジ色に染まる…」


マイケル・マン監督の言葉である。

コラテラル

脚本はニューヨークが舞台のロシア・マフィアの話だった。

ロスの一夜を描きたいと思っていたマン監督は
舞台をロスに変え、人物設定も工夫した。

十時間の間に人間の断片が描かれているだけ

そうマン監督は言う。

タクシー・ドライバーのマックスは
リムジン会社設立の夢を、12年も持ち続けている

希望と挫折の間にいる男である。


夕暮れ過ぎ
マックスのタクシーに乗り込んできた女検事に
マックスは、誘いたくても勇気がなかった。

タクシーを降りた女の方が、戻ってきて
男に名刺を渡した。

今の時代っぽい。役者もリアリティがある。


高解像度ビデオカメラを用いて
女検事がタクシーに乗り込むシーンを撮影。

背景をはっきり映し出すことによって、観客もタクシーに乗っている気持ちになる──


虚構の世界にリアリティを持たせるという
観客へのサービス。

伝えたいことを伝えるために
監督は観客にサービスする。

マン監督は

多様な人々の住むロスの町並みと、ロスに住む人間の多様性を描きたかった。


マックスの夢と挫折も
リアリティを持たせるために
演技するジェイミー・フォックスと監督で工夫した。

そして

マックスは殺し屋と関わり、
事件に巻き込まれる──

その殺し屋がな、な、なんと

トム様ーーーーーー!!!!!

にこりともしないトム様☆
ひ、人殺しをいとも平然と☆

バニラスカイ

では
夢の中?で殺人を犯したけど、
あれは「チャーリーズ・エンジェル」の
キャメロン・ディアスに蹴られてる^^;から許せるが、

コラテラル」のはなんだか寂しいトム様である。

いやーーーーーーーっ!!!!!


でも、とにかくこの映画は
私の中では
ここ十年のベストテンに入る出来映えである。

ロスの町並み。
空撮のロスもいい。
多様な人種。

他人がおずおず繋がり合って、出来事が展開する。


音楽がいい。
語りかけるように挿入されている。

ジャズの雰囲気も感じられるのは
マン監督がシカゴ出身だからか。

ロスの黄昏

はオレンジ色から映画では濃紺色に変化する。

「人間の断片をかいま見るだけ」

の映画。

ロスの一夜、十時間を描いた映画。


しかし監督は言うのだ。


10時間の経験を語る映画じゃない

ことさらなにかを説明する映画でもない

フラッシュバックで過去に戻ることもない


この映画は

「現在の連続によって、彼らの人生について知ってゆく」映画なのだ。


この映画はお気に入り♪

ビルが好きだ。

人間が出たり入ったり
人間が風景をカスタマイズしたり

そうやっていくうちに
不思議に自由な開放感ある街ができる。
そういうのがいい。


(修正しました)