「ウェブはバカと暇人のもの」中川淳一郎著 光文社新書 2009年間刊(2)

プロならば、ネット批評するのなら、立ち位置を明確にしてほしいものだ。

この本の著者は、明確だ。

──夢にあふれた原理や技術のもたらす可能性を説き、皆に希望を与える役割は、「コンサルタント・研究者・ITジャーナリスト」の皆さんに任せよう──

著者はリスペクトする「ウェブ進化論」(ちくま新書)著者コンサルタント梅田望夫氏と
「グーグル」(文春新書)著者、ITジャーナリスト佐々木俊尚氏らにより
ネットの無限の可能性を知り、興奮した。

だが
──梅田氏の話は「頭の良い人」にまつわる話であり、私は本書で「普通の人」「バカ」にまつわる話をする──

要するに
リスペクトする人々の職業、コンサルタント、研究者、 ITジャーナリストと
著者の職業「運営当事者」の立場では、ネットへのスタンスが違うのだ。

前者がポジティブにネットの可能性や、理想を述べても
著者は職業柄、ネットには善良なユーザーがほとんどではあっても「バカ」も多いと感じている。

その実感から、前者が説く、テクノロジーのもたらす理想郷など別世界の話のように感じてしまうという。