元犯罪者、新人作家にみた、寂しき「裏街道」と「闇」

創作の勉強をしている時、知り合いの知り合いに今は亡き作家がいた。
彼は思想的には右翼か左翼なのか、今もって知らない。

彼が自ら命を絶った時、別の知人に言われた。

「あなたの言うとおりだったね」
「え
「あなたは彼のような人は自分で死を選ぶような気がすると言ってたんだよ」

そうだったかな、記憶がない……。

彼から名刺を頂いたことがある。
「交通事故にあった時、これ見せるといい」と言って。

公安について、小説の参考になるかもねと、いろいろ教えてもらったことが懐かしい。
その情報が、雑誌に載ってた域を出なくて、少しガッカリしたけどね(笑)

彼は人を殺めた怖い政治犯だという先入観だったが、刑期を終えたら一般人。
だが、才能を期待された一般人だった。

彼の周囲には文化人が取り囲み、ちやほやされていた。

しかし、ワタシにはどうしても、そこに裏寂しさや闇夜しか感じられなかった。

私はこの時「裏街道」が、ワタシの求めるハードボイルドの世界ではないと気付いたのだった。