24歳の頃

24歳の頃は、出版社でバイトしながら、
ハンバーガー屋さんやアイスクリーム屋さんでバイトをかけもちしていた。
いろいろな事をやりたくて、楽しくて。

男の子3人くらいと付き合っていて、漫画を描いて、小説を書き始めていて、
渋沢龍彦を読んでいて、心理学に興味を持っていて、精神分析に通っていて、
新興宗教にも好奇心を持ち、すべて、偏りなく、忙しく
ソトへソトへと行動的だった。

男の子は、私より先に酔いつぶれていたな(笑)

美術欄のスケジュールを作っていて、画廊もあちこち覗いていた。

可能性に満ちていたような気もするが、私の内側から、声がしていた。

『道なき道を歩め』

心の深いところからの声が、私を揺さぶった。

いつも、いつもだ。

私を、安定から引き剥がす声がするのは。

本当の人生は、ソトがつくるのではない。

私自身が、内的必然の要請に促されて、否、振り回されて
いつも、いつも、崖の前に立たされるのだ。

24歳の頃。

可能性に満ちていながら、私は「形」を捨てた。

私は混沌へと、混乱へと、曖昧へと、促されるままに、歩み出したのだった。