おカタイ女の脳に響く男の言葉 映画「サイドウォーク・オブ・ニューヨーク」

「サイドウォーク・オブ・ニューヨーク」(2001年作)を見ていると、
ウディ・アレンの映画を思い出す。
ニューヨーカーが、ニューヨークに生息する人々を描く物語だからだ。

監督エドワード・バーンズが、TVプロデューサーで、同棲相手に追い出される
トミー役で出演している。

6人の人間が絡んでいる、複雑なドキュメンタリー風のストーリー。
スピルバーグから得た手法を用いて、費用を節約。
ストーリーを運ぶのは、登場人物へのインタビュー・シーンである。


トミーが恋人に部屋を追い出された後、マリアとアニーの二人の女生と出会う。
このアニー役がヘザー・グラハムで、夫の浮気に気付きながら、空しい気持ちと
孤独をもてあましている。

キリング・ミー・ソフトリー」でジョセフ・ファインズ相手に美しい肢体を
見せてくれたヘザーが、この映画では気まじめな人妻役を演じている。

カトリックのトミーは、カトリックのアニーに、夫の事を相談された後に尋ねる。
この時は、二人はまだ顔見知り程度の他人である。

「裏切り者の夫にどうしてしがみつくんだ?」
「小さい頃、離婚した両親が、その時、どうして二人が別れないための努力を
してくれなかったのかって恨んだわ。私はそういう人間になりたくないの」

トミーは、言う。
「君ならいくらでも恋人になりたいやつがいるだろう。夫と別れたら、デートしよう」

行き場のない、自分の狭い殻を撃ち破れない状況の彼女には、大きく響いたと思う。
成り行き上の、さりげない、男の人柄からにじみ出る、友情からの励ましだったとしても。

こうしたささやかな気遣いが、深い関わりへのきっかけになるのだ。

(続く)