古書店で風俗雑誌を買った時の記憶(「モンスーン」)

もうずいぶん昔、そう、バブルの終わり頃か・・・。

知人がよく行く古書店に、澁澤龍彦の選集が置いてあると聞いて、そこに買いに行ったことがある。
最近、「あるす・あまとりあ」を100円ゲットした時に、そのことをふと思い出した。


店主は、噂の真相のオカドメさんみたいな風貌の、あるいは、
声かけた少年に殺されたゲイだった映画監督のパゾリーニみたいな
怪しい雰囲気の、サングラスの似合う魅力的な人だった。

博識で、照れ屋で(というのはどうでもいいけど)
そういう男がまだあちこちにいた時代ではなかったろうか。
(今でいう、ちょいワルオヤジとは微妙にちがう)

趣味は、野球とパスタ料理。
食べたことはないが、かなりの腕前だったとか。
カルボナーラは最高に美味しかったそうだ。どうでもいいけど(笑)


そこは、私が最近ときどき行く奥に妖しいコーナーのある古書店
大きくしたような雰囲気で、築35年くらいの木造で、2階もあったような。
と言っても文じゃ雰囲気はわかりにくいが、記憶も曖昧である。

とくにエロい本が充実していた。もちろん古書である。

そういう本があることは知っていても、実際に見るのは初めてというような
本や雑誌が、床に50センチほどの高さまで積み上げられているは、
本棚の上部から天井に近いところまでどっさり状態だは。
雑然としていたが、不思議に調和された雰囲気があった。
あらゆる種類、各国のエロ古雑誌が見たい放題。
他に客は誰もいない。

店主はにやりともしないで、「どうぞ、ご自由に」とでもいうように
無言で興奮気味の女性客二人にうなずく。


私は、友達とそのコーナーにおずおず近付いたが、
次第に興味が出てきて、あれこれ手にとった。
一人じゃとてもそのコーナーには入れないが、
女二人なら心強い。

やがてそのコーナーに釘付けになり、
気がつくと、一時間があっという間に過ぎていた。
昼の1時をまわっていることに気付き「お腹がすいてきたね」と友達を「帰ろうか」とうながす。

映画でも美術館でも、鑑賞した記念になにかが欲しくなる私。
それは今でもそうなのだが、エロ古本をたくさん見た記念に、
どれか一冊欲しくなった。

で、まともにタイトルも見ず手にとり、買ったのが「モンスーン」
というセックス情報誌(?)だった。

下品な表紙の雰囲気が気にいった。
本当は超古い「奇譚クラブ」が欲しかったのだけど、高かったのだ。


その「モンスーン」は、手許にないので、発刊年月が確認できないが、
トレーシー・ローズとかジンジャーなんとかという名前のAV女優
(か、ストリップ女優か? 正式な職業名はなんだろう?)が出ていた記憶がある。
トレーシーって、今ならジェナ・ジェームソンのようなものか? 
(これも今では古いかもしれないが)

内容はともかく、これでもかというほど、ザツだが、男性には
お役立ちであろう親切な情報がてんこもり。


今なら、そういった風俗雑誌は多すぎて、珍しくもないのだろうけど。
この雑誌を知ってる人って、いるんだろうか?