スカーレットの生き方 月並みでありきたりの真実について

欲望や盲目的な情熱のような、目先しか見ていない生活動機は結構不安になる。
ただそういったものが、勢いで、生活を活力あるものに
押し上げてくれるということは確かだ。

風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラの生き方にそういったものを見る。

父親の地主としての権威と自尊心や、母親の教育と気品、優しさに守られ、スカーレットは、優美さと気品を保っていた。

淑女としてのプライドは環境と共に培われ、心が傷ついたとしても、
淑女としての自尊心(プライド)は保たれていたはずだ。

南北戦争で何もかも失わざるを得ない現実の厳しさにさらされた時、
淑女としての品位は、生きるための道具にされ、町の女(娼婦)のような
媚びと引き換えに、男から金品を手に入れるという、淑女ならば考えも
しないような行動をスカーレットはやってのけた。

「世界が崩壊して、食べるものがない時、恥じらいや控えめさなど何の役にも立たないわ」
「すでにこの世にいない母親のいう通りにしていたら飢え死にしてしまう」
そしてスカーレットは、過去の品位をあっさりと捨ててしまう。
激しい物欲で、男性を操り、妹を裏切り、富裕層にスカーレットは仲間入りする。

だが、頂点まで登り詰める途中から、次第に崩壊の道を辿ることになる。
二人目の夫の死、娘の落馬事故、心の行き違いから起きた流産、人生の危機を共に
乗り切ってきた友の死、

最後には夫の愛も冷める。
夫をはじめて愛していると思ったその数時間後に、彼女は人生最大(のはず)の
喪失感を味わうのである。

それらの不運の在り方は、理にかなっているように思う。

スカーレットは、突然の不運に過剰反応して、「お金がすべてだ」というような、
極端な価値観を持ってしまったことが、そもそも不運の人生の一歩だったように思う。
「戦争」が彼女をガツガツしたゴウツクバリに変えてしまったのである。


 女性としての生き方がどうだとか、
 道徳的でないとか、
 かっこよくないとかでなくて、


金品や物質を人間の心より大切だとする生き方は、
結局、自分を不幸にする。


(ありきたりだけど、それは「真実」である)