都築道夫のふしぎ小説が好み

また中島義道の本を買ってしまった。
100円で売られているべきではない本だったからだ。

でも。読んでみると100円でなくとも150円くらいの価値かな?
と思った。200円の価値はないような。
題名は省略しとこ。

それより、画家ネタ不思議?日記(小説みたいになってきた(^^;)を
書いているので、画家を題材にした恋愛小説が気になる。
その話はいずれまた。


不思議といえば、私がいつか不思議な小説を書くのなら、都築道夫の
小説のようでありたいと思ったことがある。
彼は、探偵小説、捕り物小説の他に、不思議な世界を短編で描く名人
でもある。

生前、一度だけご縁があったとき、帰り道を御一緒させて頂いた。
失礼かなと思いながら、正直に、
「先生の小説では「○○○○○○」が心に残っています。
探偵物より、あの小説が私は好きです」

こう言った時、彼は、表情を変えずに、振り返って
「僕もあの小説は気に入ってるんだよ」と
おっしゃったことを忘れない。

不思議な読後感を残すその小説を思い浮かべながら、私は言った。
「あの二人、あれからどこにいったんでしょうか」
だったかな。
「どうなったんでしょうか」だったかもしれない。
「どうしてるんでしょうか」かもしれない。

彼がどう言ったかは覚えていない。なにかは言ったのだ。
(続編を聞いたような記憶がある)
ただ、そのあと沈黙の中、私のほうは小説内部に引き寄せられていたような気がする。
彼は常に淡々としていた。

本物の作家の書くものは、胸のなかに芳香を残すことがある。
都築道夫さんはそんな作家のひとりだった。
私にとって。