荒っぽい創作例  仮題は「マイペースな女達」

メグミ、だけどねぇ

家族のためとか、他人のためとか
やるべきことはゴチャゴチャあるんだよ
普通はさ・・・・

マイペースでやってくってのは難しいと思うけどね
いくら手抜き主婦でもさ

あなた、昔から思い通りに生きてるじゃない。

天然のマイペースでやってきた人には
理解できないかもしれないね。


そうそう。
マイペースで思い出したわ。
モモ、どうしてるか知ってる?

え?
本人から聞いた・・・・って
へえ、先週、街でばったり出くわしたの? 
偶然・・・・

離婚した・・・・ってモモ本人が言ってたの?
ふぅん
まあ、モモらしいか。

悠くんのこと?
知らないわ。聞ける訳ないでしょう。

ああ、わたしのほうはメールきたのよ。
わりと近くだし、会ったわ。
うん、その時いろいろ話したの。

モモ、淡々としてたな。
長かったからね・・・・あ、ご主人のほうのこと。

二年会わなかったけど
彼女からの連絡、ずっと待ってた気がする。
あ、そうか。
半年前、一度メール来たかな。
それだけだな。

でね・・・・モモ、恋してるんだって。
いま一緒に暮らしてるって。

・・・ふふ、でしょ?
綺麗になってたでしょう。

ううん、かなり年下。
でもモモらしくなく、おとなしく言いなりみたいよ。
しぶしぶじゃないわよぅ、メグミの家族みたいに。

愚痴ってたわ。
マイペースで気まぐれだって。
・・・・あれは、のろけにしか聞こえなかったわ。

だいたいさ、モモ自身がマイペースで
あ、メグミ、あなたとはちょっと違うマイペースさよ。
金銭感覚しっかりしてるからねぇ・・・・あ、いまの皮肉じゃないわよ。

だけど、そのマイペースさがよ・・・・前のご主人
萎縮させてた記憶も忘れたみたい。
まぁ、それでいいんだけど

なかなか自分の生活ペースが保てないって。
モモ、忙しそうだった

“彼は──常にマイペースなんだ。下の子の直くんの世話もしてくれないの”
って言ってた
ぜーんぜん困った顔じゃなかったけど

料理も育児もやりたがらない男らしいのよ。
まあギャンブルしないだけ前よりましね。

モモの大変さは継続してるらしいわ。
細かいことはわかんないんだけどね。
前のダンナとつくった借金をいまも返しているっていうし。

元ダンナは事故が続いて、会社やめたのよ。
二度目の事故で骨折して、まだ療養中。

ほら、お兄ちゃんの悠くんの病気の手術費用や入院費用が高額だったの。
その借金よ。

でも、元ダンナは繊細な人で、気晴らしに
ギャンブルもやってて、その借金も入ってるって・・・・

“なんで借金してまでギャンブルするんだろうね。あいつは”

結局、モモは彼と別れてしまったけれど

“まともに話ができなかったんだよ、あいつとは・・・・”

“上の息子のために踏ん張らなきゃいけない時だと、あいつを今まで何度説得したか・・・・”

でもだめだったんだって

“あいつは辛くなると現実逃避していなくなる。どこにそんなお金があるのと思っていたらすべて借金・・・・信じられなかった”

そして元ダンナの交通事故。

初めて姑に電話して、元ダンナの世話を任せたって。
“あいつのママに返してやったの。あいつを”

彼の入院費までモモに余裕はなかった。
でも、元ダンナの母親に頼ることもしたくなかったって。

結婚する時、ひどく反対されたことをモモは忘れていないのね
元ダンナにも愛想が尽きていたそう

“そんな時、悠が・・・・もう手打つ手ががないって言われたんだ”

モモは疲れていて、思考力を失っていたんだそう。
“ただ、ひたすら体を動かしていたかったんだ”
必死に働いてたんだって。

ご主人?
彼はママのところ。モモとは別居状態。
詳しくは知らない。
でもその時は、まだ離婚してなかったと思うわ、たしかね。

“やり直したら”って話が、なんとご主人のママから出たそうよ。

ところが
半年前に、ご主人、また交通事故起こしたのよ。
不運というか、不幸中の幸いというか両足骨折。
あ、モモからメールがあったのその時だな。

わたしも忙しかったから、忘れてた。

ダンナがもう生きる気力失って、結局離婚よ
事故がなかったら、どうなってたんだろうね・・・・
まあ、考えても仕方ないか


やっとほんの少し明るくなってたモモに
良かったねって、心の中で祝福したわ。

今度は繊細じゃないけど
モモのありのままを受け入れてくれそうな
素朴な人みたい。
前の人は神経質な人だったから、よかったよ

あ、メグミのご主人よりはね。
あなたのダーリンは、単にあなたを支配したいだけでしょ。
独占して、見せびらかしたいんじゃない?
金持ち仲間にね。
だけどママ友にも会うななんて。


モモの彼氏が俺様男ですって?
そうかもしれない。

でも

“マイペースな人って疲れない?”
ってモモに言ったら

“そこがいいんだ。引っぱっていってくれるんだもの。理想よ、いまの私にはね。”

“現実的ね。モモは”

“・・・・現実的っていうなら、夜が最高って言いたいよ。あいつは下手だったし”

これには思わず笑っちゃったわ。


結局──悠くんのことは、元気かどうか聞けなかったんだけどね。
直人くんの様子はわかったんだけど。

いつか、モモのほうから話してくれるのを待つわ・・・・
ともかくモモは少しずつ元気になってるのよ。


今度はわたしの話ね。

平凡な夫婦のわたし達の楽しみは
老後にパン屋さんを開店することなのよ。

メグミ、あなたは
“もう人生あきらめた”
なんて言ってるけど

わたしは人生あきらめてなんていない。
これからだと思っているし
もうひと花咲かせようって思ってる。

その前にダンナを説得しなくちゃならないけどね。
花菜の結婚式には絶対出ないと言っているダンナを・・・・

その前に妹のお墓参りと、温泉旅行の日程を考えなくちゃ。
この家も売らなくちゃならないし。

妹?
うん、もう四年経ったし・・・・母親は現実見てるよ。

私もよ。
花菜は大丈夫なのかって思うことで、いっぱいいっぱいよ。
内定もらっても、この時期よ、安心はできないし・・・・
これがわたしの現在よ。


ねえメグミ
今度はあなたの話だけど。

メグミのダンナ様みたいに、ママ友と会うな、なんて
うちのダンナは禁止したりしないからね。
あなたみたいなストレスはないな。

メグミが病気になっても、休日には
ゴルフに出かけてしまうご主人に不満なんでしょ。
結婚してまだ三年目だもんね。

わたしなら“ご勝手にどうぞ”って思うな。
自由な時間ができたって思うのよね。
でも、あなたはそう思わない。

モモの元のご主人って、物静かだけど
いざとなるとヘナヘナしちゃう弱い人だった。

でも、そんなマザコン男が
とても好きな女性だっている。

めぐり合わせてしまっただけよ。
たまたまモモと。

モモはやっぱり別れたほうがよかった。
ご主人にとってもね。

だけどメグミ
あなた、いまのご主人と離婚すれば二度目の離婚よ。
よく考えて。

男性に求めすぎてるんじゃない?
経済力、容姿、地位、家柄・・・・・

あなた、裕福すぎるのよ。

離婚して一人になるのもいいことかもしれないわね。
離婚して、厳しい世間に裸になって出てみなさいよ。
お店とかはじめれば?

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※どこがどうというわけでもなく、好きではない出来ですが、ワタシから見て失敗例としてアップしておきます。
どこがダメなのかわからないけど、どこを抜いたらいいのか、足せばいいのかわからん☆