彼氏は芸能人……恨みのバター

まだイカ天全盛期、売れないバンドを友達Bと追っかけていたA、幸運にもメンバーと親しくなれた。

Aは自分のお気に入りな人とつきあい出したBを、羨ましげに見ていたが
ある日、BからメンバーのCがAを好きだと聞いた。

仕方なく、Cと交際を始めたAだったが、段々好きになっていった。

ある日、Cが言った。
「キミは可愛いけど、ちょっと痩せすぎだね。バターを食べなさい」

素直にAはバターを毎日食べた。すると、ふっくらとしてきた。だがCは言った。

「もっと太らなきゃダメッ」

彼の好みになれるよう、バターの量を増やした。
するとどうだろう。どう見ても、でぶちんに。だがCは

「可愛いよっ!」

彼と別れてからは、バターのせいで体質が変わったのか
いくらダイエットしても痩せなくなった。

当時の売れないバンドのCは、今やチョービッグなタレント。

Aは、あれからどんどん太り続けて、今はダイエットに必死である。

Cに未練などないが、痩せられない体質にさせられた悔しさと恨みの思いで
彼の出ている番組を見ているAだった。
(終)