決して『闇』の快楽ではない物語……「男性にいきなり押し倒される少年」にドキドキしたことありますか?

なんてタイトルだと、きっと検索には乗らない。

ワタシが闇に目覚めたのは
とある図書館の片隅にあった一冊の本。
自費出版のようだった。
すりきれた本で、怪しい題名と、ボロボロぶりにドキドキした。
なのに題名を忘れてしまった。

あるジャズ・ミュージシャンが美しい少年を恋する話で

付き合うようになるが、裏切られて、嫉妬にかられて少年を殺してしまう。

後ろめたい思いを隠して、図書館の隅っこでコソコソ読んでいた。

それから、ゲイ文学が気になり出して(やおいではないョン)

翻訳物ゲイ作家を数冊手にした。
その1人はカポーティ。(『ティファニーで朝食を』の原作者)
レーヴィット、サラ・シュルマンほかを読んだ。

レーヴィットは『起重機の音』だったかな。
誰にとってもうるさい騒音の起重機が、ある人間には懐かしい音に聴こえる…

サラ・シュルマンの『ドロレスでないと』は、ドロレスにふられた女の話。
小気味よい翻訳だった。一気に読んだ。

当時は、陽の当たる場所の感情より
薄暗い暗がりに生きて、うめくような気持ちの動きに惹かれていた。

情念や観念のありかに敏感になっていた。