『ラマン』(1992年 ジャン=ジャック・アノー監督)……男性主人公の『あなたを連れ去りたい』などのセリフに、リアリティを持たせるのって、意外に難しいと思う件

創作の為には、環境は大事なので、手持ちのDVDでチョイスして、
ようやくゆっくりとDVDを見られるようになり、真っ先に観ていたのが、

『ラマン』https://ja.m.wikipedia.org/wiki/愛人/ラマン

なのだけれど、以前から気になっていたのが、間違ったクレジットだ。
(実際には、間違いではなかったのだけれど)

インセプション』のレオナルド・デカプリオが語っているシーンで、
右から左に移動する幽霊がいるのだが、ずっと気になっていた。
(気づいていましたか? 夢の世界の話だから構わないですかね?)
それと同じように、気になっていたのが、この『ラマン』の主演男優のクレジットで、
有名なアジアの俳優が、間違った名前で記されているって、どーなの?
ずっと、そう思っていた。
レオン・カーフェイが、なぜに、登場人物の、トニー・リュンの名前なの?と。

クレジットには、

TONY・LEUNG

とあり、トニー・リュンと私は読んだが……
これは、レオン・カーフェイの使う名前のひとつらしい。
本当は、トニー・レオン・カーフェイというらしい。
トニー・カーフェイの名前しか知らない人は、『ラマン』のクレジットを見て、
で、『アレ?』と思った人もいたと思うヨ。

しかし、昨日は、東京は本当に寒かったな。

と言っても、さっきまで、今日は寒いなあ、だったが、日付が変わっちゃったから、
昨日は、になるが、始まったばかりの今日も寒いわ。

さて、話を戻すと、

『ラマン』のような、フランス的(?)な映画は、サガンを読み耽っていたワタシにとって、
創作的な成長上で、離乳食のひとつのようなものだ。

でも、ジャン=ジャック・アノー監督は、こういう映画の監督ではないはずなんだけれど、
これ以前の監督作品は、華麗に、監督デビュー作から、アカデミー賞取ってるもんね。
野心家であり、ファイターでもある。
同じようなもんは撮らないんだろう。

過去の5作品を振り返って、そういえば、男女の恋愛モノは撮ってないなってところから、
『ラ・マン』を撮影したようである。
(フーン……そんなもんなの?)

総費用3000万ドル。
少女が、ヴェトナムから、フランスへ帰国するシーンで使われる大型船の修復費用100万ドル。
デビュー作から、いきなり、アカデミー外国語映画賞を取った監督なので、
それだけのお金が動くのだろうか。

これだけお金をかけて、製作された映画だけれど、不満がある。
主人公のマルグリット・デュラスの少女期を演じたジェーン・マーチである。

マルグリット・デュラスの当時の頃の顔に似ているので、監督が気に入ったらしいが、
いくら似ていても、深みや、奥行きが、イマイチ足りないように感じるのだ。
例えば、ラストのあたりの、ショパンのワルツで、主人公の少女が抑圧していた感情を
引き出されてゆくという繊細なシーンは、美しいのだけれど、
この女優では、複雑な心理が演じきれてないと、私は思った。

ジェーン・マーチは美しいが、容姿が、ヴェトナムに溶け込んでいすぎな気がする。
なんと、実際に、彼女の母親にはヴェトナムの血が流れていた。納得。

アノー監督らしい映画制作への謙虚な姿勢から、デュラスの創作物のイメージに、
限りなく寄せたいという配慮の結果なのかもしれないが、私は、
いくら、ジェーンがデュラスに似ていても、映画作品の完成度としては、どーなの? 、
これで良かったの? と、勝手に疑問を感じている次第。


ところで、レオン・カーフェイ演じる、中国人の華僑の子息のセリフだが、

『あなたを、さらってしまいたい』

『あなたを、どこかに連れ去りたい』


こういうセリフは、道徳的に許されない関係には、お約束のセリフなんだよなあ、
と思うのは、私だけか?

だけど、こういうセリフに至るまでの、創作物の経過を注意して観てみてほしいなあ。
こういうセリフにリアリティのある創作物は、結構丁寧に描かれているんだから。
こういうセリフに、リアリティを持たせるのは、意外に難しいもんなんだよね。


というワケで、まとまらないまま、終わり。


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『ラマン』については、昔、記事を書いた事がある。
コレですが。
なんと、10年以上前の記事。

「ラマン」のラストを飾るショパンのメロディhttps://blogs.yahoo.co.jp/zennarumiti2004/10412567.html