人生の黄昏 記憶への郷愁 「日の名残り」カズオ・イシグロ作 中央公論社 1990年刊 後編
つづきである。
人生には挫折がつきものであり、挫折からはいあがれず苦しんでいる人は多いのではないだろうか。
世間一般の人々の尊厳意識に潜む欺瞞を
批判してるのかもという意味内においてだが。
批判してるのかもという意味内においてだが。
挫折から這いあがるというのは物語になりやすい設定だが、
いや、彼は気づいていたかもしれないが。
あえて見ようとしなかったのかもしれない。
「日の名残り」
は自分が挫折していることさえ見ようとしなかったカタブツの話である。いや、彼は気づいていたかもしれないが。
あえて見ようとしなかったのかもしれない。
聡明な女性からの率直なアプローチに、主人公は
惹かれていながら、応えることができなかった。
女性は失意のうちに去った。
惹かれていながら、応えることができなかった。
女性は失意のうちに去った。
そういう自分の守り続けた仮面の人生を、
自分自身で後悔するかもしれないと覚悟の上で
主人公は旅に出たのかもしれない。
自分自身で後悔するかもしれないと覚悟の上で
主人公は旅に出たのかもしれない。
その経過は、いくらここで語っても伝わらない部分である。
そこが見どころであり、この小説の味わいどころでもあるからだろう。
そこが見どころであり、この小説の味わいどころでもあるからだろう。
日常出会う悩みや苦悩──誰にでも襲いかかる人生の危機。
一生、悩みや苦しみと無縁の人がいるだろうか。
一生、悩みや苦しみと無縁の人がいるだろうか。
感情のままに行動してしまったり
ふとしたいたずら心でしたことが大事に至ったり
魔がさしたような行動だったり
配慮や言葉が足りなかったり、多すぎたり
傷ついたから、傷つけたり
自己保身からつい嘘をついてしまったり
エトセトラ・・・・・・・エトセトラ・・・・
ふとしたいたずら心でしたことが大事に至ったり
魔がさしたような行動だったり
配慮や言葉が足りなかったり、多すぎたり
傷ついたから、傷つけたり
自己保身からつい嘘をついてしまったり
エトセトラ・・・・・・・エトセトラ・・・・
本当にいろんな「後悔」の原因やきっかけはたくさんある。
人生の機微を知っている人ならば
確実にこれで正しいという判断をして
決断を下す人間など、たぶん、いないだろう。
確実にこれで正しいという判断をして
決断を下す人間など、たぶん、いないだろう。
自分の意識が知らぬ間に毒され、流されてゆく。
そんな空しさを、いつも人間は味わっていないか。
そんな空しさを、いつも人間は味わっていないか。
過去にこういった小説と出会えていたことは、なんとも幸運なことだった。
小説というものがこういうものであるべきだとは思わない。
小説というものがこういうものであるべきだとは思わない。
第一、ワタシの書くものは、崖っぷちエロ路線をベースにしているわけだから(笑)
いや、エロが根源的なものであるというわけではないのだけれども。
(汗)
いや、エロが根源的なものであるというわけではないのだけれども。
(汗)
カズオ・イシグロにとって、古き良き時代の英国を描いたことで
自分のアイデンティティを得た・・・・ということらしい。
この前の二作では、五歳までいた日本という国の記憶を失ってゆく自分に祖国を刻印できた・・・・ということらしい。
自分のアイデンティティを得た・・・・ということらしい。
この前の二作では、五歳までいた日本という国の記憶を失ってゆく自分に祖国を刻印できた・・・・ということらしい。
らしいらしいらしい、で申し訳ない・・・・・・・だってこの本しか読んでないんだもんねェ・・・・(^^;ゞ
この小説「日の名残り」は1993年に映画化された。監督はジェイムズ・アイヴォリー。出演はアンソニー・ホプキンスエマ・トンプソン他。
(終)
(画像は記事の内容と関係ありません。横浜開港記念会館(ジャックの塔)