“光の井戸” 天窓から一階に光を落として──4方向を隣家で囲まれても明るい家  増田政一(アルクデザイン)設計  狭小住宅その(2)

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(その(1)のつづき)


最後に
おおざっぱな印象を言うと

正直、1階は不思議だが
コミュニティ・ホールみたいな公共的な場所にしても
よさそうな妙な渋さがあった。

町内の集合場所とか、生涯学習の場所とか
若いご夫婦がそんなことをされる必要もないが
奥まった土地だからか、ホール的な趣が生まれていた。

2階とロフトだけでお腹一杯という感じだった。
2階だけで、じゅうぶん生活はできそうである。


まとめ。

狭いはずの10坪が、見事にロフト含めて
90平米くらいの感じの広さを生み出している。
2階建てでである。

2階をいく通りにも使いこなして
1階は、儲けものの空間になっていたように思う。

すごいのは、「建物探訪」で放映されたUさん邸のように

玄関横にある浴室

この規模の家にしては堂々たる造りだ。
この浴室が豊かさを盛り上げていた。

だれもがそこに浴室があるとは思わない。
あるとしたら納戸だろうか。そんな意外性もあった。

ヒメシャラの木が植えられ
ちょっとした庭もあって、季節の変化とと広がりを
どこにいても同時に感じられる。

唯一間口2m開かれた行き止まりの道路は
子どもたちの安全な遊び場となるだろう。

ここもあえて悪条件と知りつつ
増田さんの設計マジックを見込んで購入されたとか。
(これは書いておくべきかも)

階段から上がると、すべての空間が通路。

通路でないのは、デッキとロフトと浴室。

この家では
通路は寝室になったり
客間になったり
リビングになったり
遊び場になったり、、、、融通無碍

住む人の使い方次第である。



ワタシが建築に興味を覚えたのは、収納の問題がきっかけであり
それに解答を与えてくれたのは、たくさんの優れた建築家だった。

そして建築というものに興味を持ち
過去の偉大な建築家たちを知っていった。

まだ建築家の歴史は勉強の途中であるが
ミース、カーン、コルビジェ、ライト・・・・
このあたりだけでも深すぎ、謎が多すぎ・・・・
それでも

いまを設計する多くの建築家に
ビッグネームたちの歴史が流れ込んでいる──
それにほんの少しでも感じられた時
とても幸福に思う。

ワタシがやっと行き着いた狭小住宅は
コルビジェが前衛的であっても
生活者への配慮ある設計を心掛けたように

大胆なのだけど
ちゃんとあれこれ考えてつくられ・・・・

おっと☆

なぜか、ここで思い出すのは、階段の上のロフトのガラスの床だ~

子どもがガラスの上に乗って、元気に飛びはねて遊んでいたっけ・・・・

やっぱりコレなんだよね☆

光が入り込んでくることも大切だけど
遊び心につながる工夫でもあるあのロフト床のガラス。

ワタシのあのガラス床に感じたものが、決して間違った感想ではないと実感!


ふと思った。

1階の階段に光を落とすあの透明な床は

家族をひとつにしてくれる
何気ない
家の中の窓でもあるのだと。

こころも空間だってことだ。

そして
優れた建築家は

物質空間と心理的空間を、オーバーラップさせて構成するのだろう。


あの子の笑い声が今でも聞こえてくるようだ。


通路では


歩行する
立ちどまる
坐る
寝転がる
新聞を読む
本を読む
TVをみる
子供と遊ぶ
食事をする
睡眠をとる
窓の外を眺める
考え事をする
ストレッチをする
・・・・・・

ふと、この家に住むってことは、、、、と考えてみて
浮かんだのは

「日常の活性化」


シェルター的な中目黒M邸と違い
アクティブな印象を受けたT-houseだった。

ひとりの建築家でいろんな住宅ができるもんである。


  • **************

雑誌に紹介されたこのおうち
ワタシは自分の感じたことを語ってみた。
主観そのものなので、ご容赦を。

(画像は増田さんにお借りしました。感謝いたします。)


T-house

敷地面積 56、32(17坪)
建築面積 33,2 (10坪)
述床面積 65,82(19,9坪)

構造 木造2階建て ロフト付
外壁 ガリバリウム鋼板
屋根 ガリバリウム鋼板

2010 5月竣工

設計 増田政一 (アルクデザイン)

ていねいなデザインのナチュラルモダンな家に住もう

T-house(多摩川べりの狭小住宅)の書庫

http://blogs.yahoo.co.jp/arcdesignmasuda/folder/1023401.html

(※修正しました)